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想いが伝わる!料理写真のスタイリング&撮影のテクニック

はじめに

SNSの発展などで近年どんどん重要になっている「画像」や「映像」。

画像や映像にこだわるだけで、消費者の目に留まる機会が増えますので、6次産業化を進める中でも非常に大切なポイントになります。

そのため今回は、紫山のごはん会主宰 フードクリエイターの佐藤千佳が撮影やスタイリングのコツについてお話しいたします。

(1)料理教室で感じた時代の変化

自宅で小さな料理教室を始めた23年前、

当初はスマートフォンどころか携帯電話を持つ主婦は少なく、料理の写真を撮る方は10人に1人いたかどうか。大抵の方はごつくて重い一眼レフを持参していらっしゃいました。

SNSも普及しておらずインターネットなど知らない人が大半でしたから、当時からやっていたブログも見てくれる人は、ほとんどいませんでした。

今は料理の工程も使った調味料のラベルもみんなスマートフォンで画像を記録することが主流です。料理の流れは動画で、できあがりは画像で保存、あとで見返しながらご自宅で復習、という流れです。

料理ができてテーブルに並ぶと全員であらゆる角度から何枚も何枚も撮影していてなかなか終わらず、お料理が冷めてしまうのが心配になるほどです。そして皆様それぞれSNSに投稿して好きなもの・ことを共有するコミュニティができています。趣味でやっていると言ってもプロ並みの写真を撮る方も少なくありません。

 

(2)ある撮影現場で得た気づき

今はスマートフォンのカメラも性能が驚くほど向上していて素人でも綺麗な写真が撮れるようになってきましたが、とはいえプロのカメラマンが高機能のレンズで撮った画像は桁違いの美しさがあります。大きなレンズで撮った写真は本当に綺麗。そして写真の中にちゃんと「主役」が引き立っていて、それは素人目でも明らかです。

以前、「鍋」の商材写真の撮影現場を見せて頂いたことがありました。

主役は鍋。鍋の中にシチューが入って食卓の真ん中に据えられたシーンです。

私はずっと、中身の「シチューが美味しそう」「こんな料理をつくりたい!」と思うようなスタイリングしかしたことがありませんでしたが、

そこでは「シチューが入っているお鍋がおしゃれ!」「この鍋を使ってこんな食卓を作りたい!」と思ってもらえるようなスタイリングをしていたのです。文章で伝えるのが非常に難しいのですが、

盛り付けの仕方、配置、フォーカス、全てがそれはもう明らかに違っていました。料理を主役のスタイリングをずっとしてきた私にとっては驚くばかりでした。

スタイリングのポイント~何を伝えるか?を考える~

写真を撮る前に「主役は何か?」を考えることはとても大切です。

例えばお皿にごはんとカレーを盛り付けられた写真でも、

主役が「グツグツ煮込まれたカレー」なのか、「カレーによく合う美味しいお米」なのか、「カレーにピッタリのおしゃれなお皿」なのか、それによって周りの小道具も違ってくるし撮る角度もフォーカスがどこかも違ってくるわけです。

そうやって考えると、私ならどうするかな?・・・・。

例えばお皿が主役なら、

布やランチョンマットを敷きお皿の輪郭を強調します。そしてお皿を引き立てるフォークやナイフ、そして花を飾るなど。撮る角度は真俯瞰でしょうか。

カレーが主役なら、

盛り付け途中の、レードルからカレーがトロッとごはんにかかる瞬間を撮りたいですね。いわゆるシズル感というか照りや艶を意識すると思います。

そしてごはんを主役にするなら、

ごはんとカレーの境目に接近気味で撮るか、カレーとごはんをスプーンですくったところを狙います。ごはんはとても難しくて、炊き立てから30分で色合いも粒立ちも変化してしまいます。すべてのセッティングを終え、炊き立てのベストタイミングを狙っての撮影となりますので事前準備がとても大切です。

その他にも気を遣うことは色々あって、商品が「カレー」なら誇張せずそのままですがごはんやお皿が主役なら主役が映えるカレーをコンセプトと合わせて考えて作りますし、添えるのは福神漬けか、ピクルスか?なんてところもこだわってスタイリングをします。そうやって出来上がった料理を、カメラマンさんも配置や角度を変えながら何十枚も撮って、そこから吟味して1枚を選ぶ。

そういう作業を経るからこその美しい宣材写真ができあがるのです。

もっと気軽に、スマートフォンでの撮影のコツ

そこまでお金と手間をかける画像ではなくSNS発信などにカジュアルに使いたい画像はスマートフォンなどで十分良い画像が撮れます。

コツを押さえれば更によい画像にすることができますのでぜひ参考にしてみてください。

<きれいな画像を撮るコツ>

①できれば自然光で逆光

窓からの太陽光が一番自然で美味しそうに撮れます。それも逆光、奥から光が入る位置だと柔らかい優しさのある画像になります。日差しが強い場合は南側の窓ではなく東や北側の窓だと良い光が入る時もあるので色々移動してみましょう。

②主役を決める

何を主役にして撮りたいかを決めてから撮りましょう。色々盛り付けたお皿の中で具材1つを選んでそこに焦点を当てると全体にメリハリが出てきます。

③あとで切り取る

スマートフォンに「ポートレートモード」があれば、奥行きのある画像になります。周りのものも含めて広めに写してから編集機能で切り取れば歪まないクローズアップ画像も可能です。

④一度撮って確認する

肉眼で見ると気づかない盛り付けの乱れは画像にして初めて気づくものです。一度撮って確認し乱れを直してから撮るとよりきれいな画像になります。

 

動画もほぼ同様ですが、「シネマティックモード」がある場合はぜひ利用してみてください。色々な角度から撮ってみるとしっくり来る場所があるはずです。難しいと思われがちの「編集」については最近色々な編集アプリが登場して、手軽に編集できるようになってきています。

アプリで編集、キャプションまでつけたものをSNSで音楽をつけてアップロード、という流れで

作っている方が多いようですが、音楽の著作権だけ気をつけてくださいね。


【コラム執筆者】

料理教室「紫山のごはん会主宰」

フードクリエイター 佐藤千佳

 

山形県出身 仙台市在住

キッチンスタジオ「紫山のごはん会分室」(2018〜2023)

「贄~nie~」月餅販売(2022〜)

YouTubeチャンネル「紫山のごはん会 beautiful cuisine」運営(動画撮影、編集)

みやぎ産業振興機構 登録専門家

石巻市6次産業化サポートセンター支援員

 

【紫山のごはん会を詳しく知りたい方こちらから】

HP https://www.mgohankai.info/

Instagram @mgohankaibunshitsu